テキストサイズ

小春食堂【ARS】

第36章 約束の5日間【小春】

大野さんとの約束は合計5日間。

うちの都合のいい日を選んで約束した。

うちは大野さんとの約束の日が待ち遠しくてしかたがなかった。

大野さんは、スケッチが終わると学内を案内してくれはった。

大野さんの専攻の日本画をはじめ、お友達のタケシさんの陶芸科、奇抜なファッションの服飾科、空間造形とかいうのでは、女の子がツナギ着て鉄を溶接してはった。

もう、驚きでいっぱいやった。

中学を卒業して花街という大人の世界で働いてきたうちは、もう何年も同年代の仲間とわいわいと騒いだりする機会はなかった。

大野さんに案内された美大でまるで自分が大学生になったかのように楽しかった。

大野さんは、うちの知らない芸術をたくさん見せてくれはった。

大野さんは、うちの知らない世界をたくさん見せてくれはった。

うちは、大野さんに夢中やったんや。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ