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小春食堂【ARS】

第36章 約束の5日間【小春】

約束の日の最終日。

大野さんはいつもより少し長い時間スケッチをしはった。

「ありがとうございました。」

その合図で、魔法がとけたように大野さんは少年に戻る。

ふんわりした大野さんに戻る。

教授(せんせい)に頼まれたモデルの5日間が終わった。

大野さんは後片付けをすると、私を連れて廊下へ出た。

「智!」

空間造形科で鉄を溶接していたあの女の子とすれ違った。

「今夜さ、タケシんちで飲むんやけど来ない?」

「あぁ、いいよ。行くよ。」

「お姉さんもよかったらおいでよ。タケシ喜ぶよ。」

女の子は、うちのことも誘ってくれた。

嬉しかった。

でも…。

「かんにん。今夜はお座敷があるから…。」

私はやはり彼らとは住んでる世界が違うんや、と痛感した。

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