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小春食堂【ARS】

第38章 追いかける【小春】

「普通の大学生が、芸妓のあんたを相手にすると思うか。だいたい、向こうさんは、あんたのことどう思ってんの。」

言葉がなかった。

大野さんとうちでは、住む世界が違う。

うちみたいな芸妓よりも、大野さんにはもっと普通の女の子がお似合いや。

うちが知らんだけで、恋人がいるんかもしれへん。

美術館で会う約束も果たしてくれへんかった。

「そやな…。お母さんの言うとおりやな。」

うちは、壁に貼った絵を眺めるしかできひんかった。

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