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小春食堂【ARS】

第8章 これからの未来へ【翔】

小春さんが、定食を運んでくれた。
今日のメニューは、鯖の醤油煮だ。
生姜のいい香りが立ち上る。


「いただきます。」


手を合わせて、箸をとった。

味噌汁をひとくち。
うん、今日もうまい。


「俺、近い将来、出版社を興そうと思ってるんです。」

「出版社?」

「そう、小さな出版社をね。もう少し会社で働いて金を貯めてからにはなるけど…

媒体は、本かウェブか、どうなるかわからないけど。
とにかく、情報を発信していきたいんだ。」


小春さんは、まっすぐに俺を見てにっこり笑った。
そして、うんとうなづいた。



「媒体は本にしなさいな。」


いきなり声がして振り返ると、ベージュの作業服にスラックス姿の小柄で華奢な優男が立っていた。


「印刷は承りますよ。」

【櫻井翔編おわり】

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