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小春食堂【ARS】

第10章 丹波黒の煮豆【和也】

「でも、設備を処分したら従業員の仕事がなくなってしまいます。」

「二宮社長、大胆なリストラも必要かと思いますよ。」

「そんな…。」

「二宮社長、あなたの会社を守るためです。」


結局、融資の話はまとまらず、俺は会社に向かってとぼとぼと歩き出した。


「印刷機、処分した方がいいのかな…」


親父の代からうちの会社を支えてくれてる工場長とその部下たち。
みんな、もういい歳だ。
リストラなんかしたら、再就職は難しいだろう。

しかし、印刷機にかかるコストは重い。
インク代やメンテナンス代、人件費を考えると、処分して外注に切り替えたほうが、効率的ではある。


「あぁ、どこかに黒いダイヤ落ちてませんかね…。」


俺は深いため息をついた。

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