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小春食堂【ARS】

第13章 絶体絶命【和也】

俺が会社に戻ると、営業の南が血相変えて走ってきた。


「どした?」

「社長!鈴木産業さんのリーフレットの件なんですけど…」

「展示会のリーフレットか?あれはもう刷り上がってて今日の夕方に発送だろ。」

「それが…、誤植が見つかって…。」


俺は、全身の血の気が引くのがわかった。

俺は南から事情を聞くと、デザイン室に駆け込んだ。

「山さん!鈴木産業さんの入稿原稿見せて!」

俺はデザイン室長の山さんを呼んだ。

すでに事態を把握していた山さんは、茶封筒の中から入稿原稿を取り出して見せた。


「山さん、説明して。」


山さんの話はこうだ。

鈴木産業さんがパソコンで作った入稿原稿に、会社の電話番号の入力ミスがあった。
山さんは、先方の入力ミスに気づかずそのまま作成。
印刷まで終わったのを、刷り上がりを確認した南が発見した、という訳だ。

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