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小春食堂【ARS】

第14章 自分ができることなんて【和也】

「はぁ…」

俺は社長室のソファに体を沈めた。

先ほど、リーフレットは完成した。


「もし、印刷機を処分してたらアウトだったな…。」


連休を返上して、従業員たちは頑張ってくれた。

俺は、それを横で見ているだけしかできなかった。

俺は、版を焼くことはできない。

印刷機をまわすこともできない。

断裁機の使い方も知らない。

本当に、何にもできず、ただ見ているだけだった。

社長なんて名ばかりで、俺は何にもできない。

その時、社長室の扉をノックして、南が入ってきた。


「南か、お疲れだったな。」

「明日の朝イチに、リーフレットを先方の展示会の会場に納品してきます。」

「あぁ、頼む。」

「それと、工場長のことなんですけど…」

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