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小春食堂【ARS】

第18章 ぶり大根【潤】

「小春ちゃん、うまいよ。」


小春ちゃんの料理は本当にうまい。
家で真似して作ってみるけど、到底同じ味にはならない。


「そう?よかったわぁ。」


小春ちゃんは、カウンターの向こうから顔を出した。


「ぶりは縁起物だから…。ぶり食べて潤くんに出世してもらわないと。」

「縁起物?」


俺は何のことかわからず、首をかしげた。


「ぶりって、大きくなるにつれて、名前が変わるんや。つばす、はまち、ぶり…。だから出世魚って呼ばれてる。」

「ふ~ん。そうなんだ。じゃあ、俺も頑張って出世するよ!」


ぶり大根食べたら、なんか力がわいてきた。
次の公演、頑張らなきゃな。


「小春ちゃん、公演のあと楽屋口に来てよ。一緒には帰れないけど…。感想聞かせてほしいんだ。」


小春ちゃんは、うん、とうなづいた。

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