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小春食堂【ARS】

第19章 坊(ぼん)【潤】

俺は驚いたが、これを書けば警察に突き出されないと思い、ペンを受け取った。


メモ用紙には、名前と金額、日付を記入した。


「坊(ぼん)、必ず払いに来てな。」


そう言って女主人は、俺に包んだおにぎりをふたつ、そっと渡してくれた。




しばらくして、俺は居酒屋のバイトを見つけた。

仕事は忙しかったけどマスターがいい人で、根気強く俺を指導してくれた。

賄いも付いてて、俺の命をつないでくれた。

初月給が出た日、俺はバイト終わりにあの住宅街に向かった。

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