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小春食堂【ARS】

第21章 幕が上がる【潤】

二日目も、大盛況のうちに終わった。


「潤、楽屋口にお客さん来てる。」


仲間が知らせてくれる。

俺は衣装のまま、楽屋口に向かう。


「潤くん!」


待っていてくれたのは、小春ちゃんだ。


「小春ちゃん、来てくれてありがとう。どうだった?舞台。」


「よかったよ!どんどんストーリーに引き込まれて。」


小春ちゃんは、目をキラキラさせて興奮気味に熱く語った。


「歌もダンスも最高やった!」


うん、すげぇ練習したからな。


「まわりの席の若い女の子たち、潤くん見てキャーキャー騒いでたよ。」


そうなんだよ。
実は、俺にはファンがいるんだぜ。


「その衣装も似合ってる。」


うん、そうだろ?
キマってるだろ?


「店に来るわがままで甘えん坊の潤くんとは、えらい違いやな。」


う、うん。そうかな…?


「馬子にも衣装って、こういうことを言うんやな。」

「うるせぇ…!」


小春ちゃんは、何でいつもこうなんだろう。


でも、俺が舞台で夢中に演じてる姿を見てもらえて、嬉しかった。

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