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小春食堂【ARS】

第22章 何も知らない【潤】

「え…?」

「潤のダンス見てたら、何か苦しくてさ。目が離せないって言うか…。」

彼女と俺は、劇団創世紀からのメンバーで苦楽を共にしてきた仲間だ。


「一次会はけたら、どこかで飲み直さない?」


つらい時も励まし合い、切磋琢磨してきた。


「どこか、ふたりで…。」


役者で成功するという、共通の夢を持つ同志で。


「私のアパート近いし、よかったら…。」


たくさんの時間を共有してきた。


「潤…?」

「ごめんな…。」


でも、俺の中はもう小春ちゃんしかいないんだ…。

何にも知らない、小春ちゃんのことしか…。

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