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少女グレイスと森の魔女

第4章 森の秘密

23『形跡』


「こりゃあ言い方が悪かったね。
グレイス、あんた森に好かれているんだよ。あの森はあんたに何かを伝えたがっているんじゃないかねぇ?」


「そんな、まさか…」

などと言いながら嬉しそうな表情のグレイス。


「それにね
よく森に出入りしている者がどうやら他にもいるみたいなんだ。
そんな形跡がある」


「私の他にも?」


老婆は次にグレイスの母に目を向けると続けた。

「あたしも森については色々調べたいのだが、あたしゃ町のことにはあまり詳しくない。だから町に住んでいる者からの情報が欲しいんだ」



母はそれを黙って聞いていた。



「…とりあえずこれは今あんたに譲っておこうかね。手をお出し」


老婆はグレイスに宝石を手渡した。

手に乗った宝石を見つめるグレイス。



「許しが出たらでいいさ。そしたらあんたの来たい時に来ればいい」


「お婆さん、この宝石はなんという宝石なの?」


「名前?名前ねぇ
はて…なんだったかねぇ?遠い昔に聞いたのだが…

この際、あんたが新しい名前をつけたらどうだい?」

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