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少女グレイスと森の魔女

第5章 クレア

34『睡魔』


グレイスは椅子に腰を掛けると宝石を取り出してテーブルに置いた。



両手で頬杖をついて宝石をじっと見つめる。




「ふふ、何か見えるのかい?」


あまり夢中になるなという意味に聞こえたがグレイスは構わなかった。


洗い物の最中である母もそれ以上は何も言わなかった。





「…お婆さんの家ってどこにあるんだろうね?」


「え…?
私が知ってるわけないじゃないか。お婆さんは教えてくれなかったのかい?」



……



グレイスは老婆と別れたあとの帰り道からずっと眠気を感じていた。



いよいよ睡魔に襲われ始めたグレイスは一息つくように少しずつまぶたを下ろしてゆく。



…いま、遠くで誰かに呼ばれた気もするが

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