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５４『細く白い…』


こんな嵐の夜に、こんな場所で…
一体何を？



ホー… ホーゥ…


聞こえてくる鳥の鳴き声に男は苛立った。

｢…いつ来ても好かんな、ここは。気味が悪い｣



ああ…あの人は…

グレイスは少し安心して男に声をかけようと歩み出る。



が、すんでのところで踏みとどまった。




よく見ると、男の傍らに置いてある大きな布の袋からは人の手首がはみ出ている。


……ーー!!

グレイスは身震いした。



その手首はとても小さく、そして白くて細い。



ーーー!!

グレイスは両手で口を押さえながら後ずさりする。





｢よし、もういいだろう…｣

男は布の袋をつかんで力まかせに中身を放り出した。


｢…ふん！｣


ズ…、ズザァー！



続けてグレイスの目に映ったのは、見覚えのあるブロンドの長い髪と青いリボン。



その瞬間、グレイスの目から涙がこぼれ落ちた。