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少女グレイスと森の魔女

第8章 森の奥へ

58『馬脚を露す』


グレイスはうずくまったまま目を閉じて考えていた。


泣いている場合ではない
自分は大変なことを目撃してしまったのだ


隙を見て誰かを呼びに行こうか、それとも男がいなくなるのを待っていようか




…………




ザクッ…


バサッ…


男はおもむろに掘った土を焚き火にかけ始める。


パチ・・パチ…


焚き火はその火力を弱め、辺りは一段と暗くなった。



男は何かを確信したようにシャベルを力強く地面に突き刺し、


ズシャッ!

手袋を脱ぎながら暗い森の一方向を睨みつけた。


その先にはちょうど大人ひとりが隠れられそうな岩がある。



「そこにいるのは誰かね?出て来たまえ」


!!? ……

グレイスはぎくりとして目を大きく見開き、息を…止めた。




グレイスは、はっと火が灯っている自分のランタンに目をやった。



頭が真っ白になりかけながらグレイスは体を反転させ愕然とする。



自分の周りの草木だけが明るく照らし出されている。



グレイスは岩に背中をつけてそのまま沈むように座り込んだ。

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