少女グレイスと森の魔女
第8章 森の奥へ
59『対峙』
男は岩に向かって話しかけた。
「…見ていたのはわかっている。
どうだろう?
少し話をしようじゃないか。そちらだけ色々と見て知って、こちらは誰かもわからないなんて不公平ではないかね?」
……
岩からの返事はない。
男は足元にあったクルミほどの大きさの石を拾い、岩に向かって投げつけた。
岩を的とするならば石はやや外れて飛んでいったが、岩陰に潜む者を脅かし挑発するのには十分な当たりをした。
岩陰に潜んでいた者は観念したようにガサガサと出てくる。
「ほーう?
これはこれは…」
現れた者の背丈、格好が男にとってはよほど意外だったらしい。
「…!」
更によく目を凝らして男は驚いた。
「…やあ
こんばんは、お嬢さん。また会ったね。これで三度目だったかな?」
互いに見覚えのある人物に遭遇したのだったがグレイスのほうは下を向いて黙っている。
「君はあの時と同じ格好をしているのだね。
私はね、何か化け物でも出て来たらどうしようかなんて思っていたのだが、なんとも可愛らしいゴブリンが出て来たものだ。
ふっふふ、こんな夜分に散歩かね?」
男は岩に向かって話しかけた。
「…見ていたのはわかっている。
どうだろう?
少し話をしようじゃないか。そちらだけ色々と見て知って、こちらは誰かもわからないなんて不公平ではないかね?」
……
岩からの返事はない。
男は足元にあったクルミほどの大きさの石を拾い、岩に向かって投げつけた。
岩を的とするならば石はやや外れて飛んでいったが、岩陰に潜む者を脅かし挑発するのには十分な当たりをした。
岩陰に潜んでいた者は観念したようにガサガサと出てくる。
「ほーう?
これはこれは…」
現れた者の背丈、格好が男にとってはよほど意外だったらしい。
「…!」
更によく目を凝らして男は驚いた。
「…やあ
こんばんは、お嬢さん。また会ったね。これで三度目だったかな?」
互いに見覚えのある人物に遭遇したのだったがグレイスのほうは下を向いて黙っている。
「君はあの時と同じ格好をしているのだね。
私はね、何か化け物でも出て来たらどうしようかなんて思っていたのだが、なんとも可愛らしいゴブリンが出て来たものだ。
ふっふふ、こんな夜分に散歩かね?」