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６９『仲裁』


｢もうやめてよ！｣

グレイスは手でフクロウを払う。



｢ああ…
お前たちにもわかるまい、私の言っていることなど。
だが、忘れるな！
ここに集まったお前たちだって何かに駆り立てられて来たのだろう？
同じではないかね？
違うならば今頃は夢の中にいるはずさ｣



｢もう黙れ！｣

クレアの父が押さえつける。

男はうつ伏せに倒され、顔の半分が泥と血にまみれながら尚も言う。

｢ぐはっ、殺せ…
お前たちは私をこの世から抹殺することしか出来ないだろうからな！
どうせ生きていても私はこれからも魂の抜けた死人のように生きてゆくだけなのだ！そんな生き方などまっぴらだ！殺せー！｣


｢勿論そのつもりよ。ご｣



｢やめて…｣

｢やめてー！｣

グレイスは叫んだ。


｢ふっ…ん
お嬢さん、君は…私の言っていることが…わかるっていうのかね？｣


｢わ、わからない…けど、だけど…わからないことをここで簡単に決めるのは違うと…それは怖いことなんだと思う。だから…｣


｢だから、何だというの？
わからないことなんて何も無いじゃない。この男は死にたがっているの。みんなの意見が一致しているのよ｣