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少女グレイスと森の魔女

第9章 夜が明けるまで

70『審判』


グレイスは助けを求めるように黙ってクレアの父を見つめる。



「…グレイス、君はきっと自分の目の前で起きることに耐えられないのだと思う。しかし、罪は罪なのだ。目に見えないから軽くなるなどとは決して違う。まだ知らないところでどれだけの犠牲者がいることか。しかも弱い者ばかりを狙ってね。
君だって今頃はどうなっていたかわからんのだぞ?
この森の噂もきっと彼自身が流したのだろう。
私はこんな危険な男を知らない!
それを生き甲斐などと言っている男を許すことはできない!」

「…だが、こんな小さな女の子に同意を求めるのも確かに酷だというのも分かる」



老婆が歩み出てグレイスに言う。

「あんたはクレアって娘のそばに居てやんな」




「ところで、あなたはどなたかしら?」


「森の魔女などといわれている者さ」


「ああ、あなたが…」

「それではあの子、グレイスとはどういうご関係?」



「あの娘とは町で会って親しくなったばかりだよ」


クレアの父もその会話に食い入る。

「そうだ
グレイスは何故ここに?」



「…さあてね?
もしかするとクレアって娘に呼ばれて来たのかもしれないねぇ」

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