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経済財政愚問放談 その1

第2章 年功序列制が、格差の拡大を防いでいた

年功序列・・・有る一定の世代にとっては懐かしい響きの言葉です

年功序列とは書いて字の如く、企業等で年月を重ねて働けば、その貢献度に応じて昇級なり昇進なりする制度です

では、実際はどうでしたでしょうか?

幾ら年功序列とは言え実績が無い者は昇進出来た訳ではありません

わかりやすい例として、営業職をみてみましょう

同期に入社した営業職社員が10名居たとしましょう

ある能力の高い営業社員が業績を挙げていきます、すると彼は歩合給や特別手当やボーナスで他の社員よりも高い収入を得るようになります

更に好成績を挙げていけば、彼はやがて次長→課長→係長→部長と出世して行き他の平均的成績の社員をどんどん収入で引き離していきます

こうして同期入社の社員同士に格差が生じ拡大を続けていきます

成績の悪い、若しくは平均的な営業社員は下手をすれば万年平社員です

人間の集団が存在する以上、こうした能力差はどうしても発生してしまいます

全員が高い業績を挙げる何て現実には中々有りませんし、有ったとしてもその中で更に序列が生まれるだけでしょう

こうした避けようがない格差の拡大を最小限に押さえる役割を担っていたのが『年功序列』と言うわけです

今でこそ難しいですが、高度成長期やバブルの頃は、業績が平凡でもキチンと真面目に長年勤めていれば、それなりに定時昇給して行きました

勤め続ければ、誰でも毎年一定額昇給する『年功序列』と言う世界にも稀な制度によって、日本人は国民総中流と言わしめた社会構造を作る事が出来ました

年功序列によって、入社から結婚→出産→子育て(学費)→老後と必要な収入を確実に得ることが出来ていました

そのためアメリカからは、昔「日本は最も成功した社会主義国家だ」などと言われていた時期も有りました

日本人の相互互助的民族性が生んだ画期的な制度と言えたと思います

しかし、資本主義的理論や、企業経営における論理には年功序列はそぐわない制度でも有りました

次章では何故年功序列が崩壊したのかを論じて見たいと思います

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