友達以上恋人未満
第3章 海
彼がそう囁くように言った後、
波の音だけが響いていた。
私はもう彼に惹かれていた。
手を握るとドキドキしたし、
抱きしめられると落ち着いた。
お互い口数が多い方ではないけど、
沈黙があっても気にならなかった。
彼の大人な雰囲気や、
余裕のある姿勢、
焦らずにいつも、私の答えを待ってくれところ、
そんなところに惹かれた。
そして、時折見せる彼の
寂しげな表情が
ほっとけなかった。
今も、何て答えればいいか
わからないわたしを
焦らすことをせずに、まってくれる。
そして、
今も
寂しげな表情をしている。