友達以上恋人未満
第9章 兄弟
わたしはしばらく彼のお兄さんだという人に
連絡をするかためらっていた。
でも、名刺をくれた人とあってから、
私は毎日毎日、彼のことを思い出していた。
彼の笑顔とか、
彼の仕草とか、
手を繋いだ時の、彼の手の大きさとか、
彼が私の名前を呼ぶ声とか、
気づけば私は名刺の連絡先に連絡していた。
私の中に、コール音が響いて伝わる。
何度目かのコール音の後、
彼の声とよく似た落ち着いた声で、
はい、とひとこと聞こえた。
「えっと、あの、、、、。」
「あぁ、連絡ありがとうございます!
良かった。怪しまれたかと、、笑」
すぐに私が誰かわかったようで、
名刺の男性は戸惑う私をおかまいなしに、
要件をたんたんと話した。