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ひざカックン

第9章 てんき


僕は彼女に引っ越しの日すら伝えていなかったので、彼女がそこにいることが信じられなかった。

僕は何も言えないまま、彼女を見詰めていた。

「なにシケた顔しちゃってるのよ!…あれ…もしかして、怒ってる?痛かった?」


彼女は茶化すように言う。


「…怒ってなんか、ないよ」

僕はなんとか返事をする。

彼女は僕の様子をみて、ため息をついてから

「そう…ならいいけど。ほんとはね、見送りなんてこないつもりだったの」

と言った。

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