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風景画

第81章  桃月 ③




水底から

ふいに

浮かび上がるような目覚め…

氷が弾けた



未だ深夜を示す時計の針に

洩らす吐息で闇が揺れる



差し込む明かりの先には

嗤う月



グラスをあげて片目を瞑れば

恋しい人の幻さえ浮かびきて

夜が華やぐ



夢も現つも溶け合いながら

流れゆく…







(了)



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