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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第29章 幸せはどこにある(2)【翔】

雨上がりの朝、相葉くんと窓の外をながめていた。

「翔ちゃん、銭湯行かない?」

「銭湯?いや、それはちょっと…」

相葉くんが銭湯好きなのは知ってるけど、さすがに躊躇した。

公衆の面前で全裸になる勇気はない。

「大丈夫だって!朝風呂やってる銭湯知ってるから。」

「いやはや…」

煮え切らない俺に、相葉くんは畳み掛ける。

「こんな時間、おじいちゃんくらいしか来てないよ。朝風呂に来るおじいちゃんたちは、俺らのこと知らないって!」

押しきられるかたちで、俺は相葉くんと銭湯に行った。

銭湯には相葉くんの言う通り、おじいちゃんたちしかいなかった。

誰も俺達を知らない。

『いい若いもんがこんな時間に銭湯なんて』

そんな雰囲気すらかもし出していた。

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