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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第33章 このままもっと【翔・潤】

5月の晴れたある土曜日の昼さがり、僕は海沿いの道を車を走らせていた。

海を見渡せる高台にある、古くて白い洋館に着くと、車を止め玄関のドアを開ける。

潤「キヨさん、こんにちは。」

キヨ「あら松本様、いらっしゃいませ。今日はお早いのですね。」

潤「ああ、近くに用事があったんでね。で、翔さんは?」

キヨ「旦那様なら、お庭で読書をなさっておいでですよ。」

僕はリビングを抜け、テラスから庭に続く窓から庭に出た。

庭の隅に植えられた赤い木香薔薇のアーチの木陰で、翔さんは本を膝に乗せたままうたた寝をしていた。

潤「翔さん、こんなところで寝てたら風邪をひくよ。」

翔「おお、潤か…。」

潤「木香薔薇がきれいに咲いたね。風が冷たくなってきたよ。部屋に入ろうか。」

翔「あ、ああ…。」

僕は翔さんの車椅子を押した。

5月とはいえ、海からの風は少しひんやりしていた。

翔さんの白い髪が、海風にそよそよとなびいた。

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