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雨のち曇り、時々晴れ【ARS】

第35章 嫉妬【翔】

翔「お疲れ!」

俺はサッサと着替えを済ませると、メイクも落とさずカバンをつかんで控え室を後にした。

雅「え、ちょっと、翔ちゃん!?」

後ろから雅紀の声が聞こえたが、知らないふりをして早足で立ち去った。

廊下を抜け、エレベーターホールまで来た時、後ろから誰かが俺の手をつかんだ。

振り向くと、息を切らした智くんが俺の手をつかんでいた。

智「翔くん、あの、ごめん…。」

翔「何だよ、何が“ごめん”だよ!?」

その時、エレベーターの扉が開いた。

俺がエレベーターに乗ると、智くんは俺の手を握ったまま一緒に乗り込んで来た。

エレベーターは無人だった。

翔「手、離して。」

智「あ、うん…。」

智くんは、もじもじとした様子で手を離した。

智「さっきは、ふざけすぎた。グルメコーナーなんだから、ちゃんと味の説明するべきだったよ。だから、ごめん。怒んないで…。」

智くんは、うつむいて指をいじりながら、小さな声で言った。

翔「…怒ってないよ。それに、あれはあれで盛り上がってたし、いいんじゃない?」

智「そう? よかった!」

智くんは顔を上げると、満面の笑みで俺に顔を向けた。

その無垢な笑顔を見た瞬間、また俺の腹の中でどろどろとした熱い何かがこみ上げて来た。

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