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凍夜

第1章 氷雨

電話が鳴った時、イヤな用事の電話だと私には直ぐにわかった。


口の中は、昨晩飲み過ぎた酒のせいでカラカラに乾いていて、頭の中では夜半から降り続く雨の音が、ずっとこびりついたように離れず、夢の中まで邪魔をした。

何度も目が覚めた夜だった。
もちろん、どんな夢を見ていたのかも覚えていない。


ただ、シタシタと冷たい音が、どこまでも追いかけてくるようだった。

五回目のコールで、私はやっと、受話器を取った。




















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