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凍夜

第8章 鎖

「1990、おたるヴアイスブルグンダー石狩」


私は‥‥。

「私は?‥‥?!」

その、ボトルを、眺めながら、過去を、回想し、COOLをふかしていると、いきなりデスクの電話が、鳴り、ハッと、した。

COOLを灰皿に揉み消しながら、一つ深呼吸して、咳払いを、して、瞼をギュッと、一回強く閉じてから、受話器に手を伸ばした。

(落ち着いて、現実よ‥‥今現在よ‥‥)

何故か、私は、瞬時に、自分の心に、そう、言い聞かせ、足を組み換えて、現在の自分に戻りながら、受話器を取った。



「お電話、ありがとうございます。クラブハーフムーン、メンバーズで、ございます♪」

切り替えの早い、私らしい、営業の、声が、独特な抑揚で、室内に、甘く響いた。

自分でも、ちょっと不思議だった‥‥‥。


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