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凍夜

第2章 恥辱



私は、台所のガス詮を開いて、そっと家を出た。


公園の草むらを横切った時、足首が朝露で濡れたので、足元を見やった。

草むらに無数に生えたタンポポの花が朝日を浴びて頭を上げ始めていた。


私は、そのタンポポの群れの中、白い綿帽子を被った一本のタンポポを大地から抜きとると、唇をすぼめ、息を吹きかけた。


綿帽子が一斉に、空に向かって、散って行った。

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