
凍夜
第3章 花
苗穂駅を後にして、マサシは車を走らせた。
私は、助手席でまたCOOLをふかしながら言葉を探していた。
アスファルトを雪が覆い、時折アイスバーンが覗いていた。
マサシがエアコンの温度を高くした。
「俺さ、知ってたんだ……。」
突然、マサシが口を開いた。
私は思わずマサシの顔を見た。
マサシはハンドルをギュッと握ると、目を細め遠くを見つめた。
車は北一条通りに入っていた。
JRタワービルが、遠くに高くそびえて見える。
「何を知っていたの……?」
私は、内心焦っていた。
マサシは、マルボロを口にくわえると、私に体を寄せてきて、首を傾けた。
私はマサシのマルボロに火をつけた。
「ありがとう」と頷くとマサシの体が私から離れた。
マサシは深く煙を吸い込むと、やや天井に首を傾け、ゆっくりと煙を吐き出した。
すぼめた唇の隙間から残煙が白く漏れた。
