
凍夜
第4章 カタルシス
マサシは車を停めると、「行こう。」と私に声をかけ、車から出た。
私もドアを開けて、外に出た。
虫の鳴き声が、しんしんと聞こえる深い草むらの中を通り抜けると、人の話し声が僅かに聞こえてきた。
私は、泥濘に足をとられながら、心細くてマサシの袖に掴まった。
風があるせいか空に浮かぶ雲がアメーバーのように気まぐれに姿を変えてゆく。
時折、赤い大きな星が鋭く光った。
その空の僅かな光の下に、三つの影が動いている。
「ハイ!」
マサシが呼びかけた。
3つの影が、こちらに顔を向けた。
マサシは、頭を覆っていたフードを外すと何かを話ながら、その影に向かった。
私は少しずつ闇に目が慣れてきていた。
