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凍夜

第6章 浸食


「……いや、その前に……。」


川原がかぶりを振った。


テーブルに置かれたワイングラスの脚をつまんだり、指先で弾いたりした。


私はグラスを片手に持ったまま身構えていた。


チェイサーの氷はいつの間にか溶けて形を失っていた。

まるで最初からただの液体だったかのように、それはひっそりとただずんでいた。


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