凍夜
第6章 浸食
マサシはこのうえない屈辱を受けたことに頭が一杯になり、是非とも静香を屈服させないことには何も始まらないと思った。
だから、また後日、静香の仕事終了時間をめがけ車で後を追った。
「また、ボウやなの?私、今夜は疲れてるのよ、この前みたいなサービスなんてあり得ないわよ。」
「そんなの要らねぇよ。姉さん送るよ。」
「そ?」
車に乗り込んできた静香は石鹸の香りがした。
「あーぁ、疲れちゃった。全く世の中の男ってヌキたいばっかで他に芸ないのかしら、ウンザリしちゃう。」
そのセリフを聞いてマサシは胸の底に燃える炎がポツと青く揺らぐような気がした。
「お金貰ってるから仕方ないけど……。ぁ、そういえば、この前私、なんでボウやにあんな無駄な労力使ったんだろ?顔射までされちゃッて。」
静香はマサシの顔を覗きこみ、いやらしく舌を出した。
「姉さん、また部屋に入れて?」