不良に良好
第2章 2
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「え、眼鏡一個に4日も待つの?」
メガネ屋を出た俺たちは、あてもなくブラブラしていた。
「うん…ちょうどレンズの在庫が切れてたらしくて」
「じゃあ、暫くコンタクト頼りってこと?」
眉間にシワを寄せ、佐山は頷いた。
「ふーん…」
俺は両目ともAだし、目が悪いやつの世界なんて分からないけど
それは少なくとも気持ちがいい物じゃない。
ちょっと試してみるかな。
「じゃあさー、それまで俺がくっついててあげるよ」
「えっ?」
「融通きかないことも出てくるだろうしさ。俺みたいなヤンキーは嫌?」
フリーズしていた佐山は、数秒後ハッとしたように返事をした。
「お、お、お願いします!」
「任せといてー」
こいつならコンタクト落としかねないし
虫除けにもなるだろうしね。
「あの、あ…あの、」
「何?」
「海崎君のこと、夕夜君って呼んでもいい…?」
こいつは。
何を言いだすかと思えば。
「いいよ お前の下の名前なんだっけ?」
あー、何をやってるんだろ、俺は。
違うだろ。
俺はそうじゃないだろうが。
なにかがズレ始めているような気がする。