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ネムリヒメ.

第7章 知らない自分.





目の前が葵くんの匂いでいっぱいになる


彼がつくる甘くて危険な空気がアタシを飲み込んでいく


まるで彼の匂いが媚薬のように、アタシの理性をじわじわと侵していくようだった


クチュ…


「ぁふ…んっ…」



ふたりの蜜が絡まる音と鼻から抜ける甘い声が部屋のなかに響いて


葵くんにキスにすっかり絆されて

抵抗する気持ちすら掻き消されていた


それ以上に、彼の熱にうかされて気がつけば、アタシは虚ろな瞳で彼を見つめながら手を伸ばして、葵くんの綺麗な金色の髪に触れていた


そこへそっと手を重ねて指を絡めてくる彼




「オレが欲しい…!?」




彼の濡れた唇が甘く掠れた声で呟く





「ぁっ……」


答えるまもなく再び唇を塞がれて、クラクラとめまいのような陶酔感に襲われた

頭のなかが葵くんでいっぱいなって、彼を求めてしまう…

触れあう唇が、伝わってくる熱が、彼のすべてがアタシを甘く誘った







「でも………」





突然離れる彼の唇 




「……ゴメンね」




一気に退いていく熱を名残惜しく、まるで追い求めるように彼の熱っぽい瞳に視線を絡めるアタシ






「オレ…これから仕事だから…」


「っ………」



クスリと喉を鳴らしながら、すっかり熱くなったアタシを楽しそうに見つめる彼




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