ネムリヒメ.
第9章 イチゴ味の夜と….
しかし、目の前のオシャレメガネのモテオトコはそんな胸の内を知ってか知らずか、そんなのお構いなしで更なる攻撃を仕掛けてくるわけで…
「ちーちゃんは!?」
今度はそう聞いてくる彼に当たり前のように、
「楓が好き」
…と言おうとしたら
その言葉の途中で葵くんに口のなかにイチゴを突っ込まれて、そのまま唇を重ねられた
甘酸っぱい香りが鼻から抜けて頭のなかがイチゴでいっぱいになる
…カンカンカン!!
葵くんの予期せぬ攻撃に頭のなかにノックアウトをつげるゴングの音が鳴り響く
アタシのなかにいた楓がいとも簡単に倒され、そのかわりに心臓が大きな音をたて、胸のなかでなにかがざわつき始める
そして、極めつけに
「…初めてのキスってこんな味!?」
と、テーブルに身を乗り出してそう微笑む彼に瞳を奪われるアタシ
…さっきのドライなハートだった自分はどこに行ってしまったのだろうか
そんなのわかってる…
いま倒された。
「オレはバニラの味だったけど…ね」
艶っぽく微笑む彼の綺麗な指に赤くなった頬を撫でられて 、今度はイチゴより甘くて深い大人のキスをされた