ネムリヒメ.
第9章 イチゴ味の夜と….
「そうだ♪ ちーちゃんに今度紹介してあげるね」
「ぇ…」
葵くんが思いついたように振り返った
「一ノ瀬さん…オレの店でオレより偉い人」
「あ、うん」
なんとも曖昧な葵くんの説明に相づちを返す
あ…れ…!?
待って待って…
一ノ瀬って…
…なにかが引っ掛かる
「葵くん、その一ノ瀬さんって人…名前…」
「んっ? 下の名前!?」
「うん…」
アタシはその名前がやけに気になった
「……蓮(れん)」
っ…!!!
「一ノ瀬 蓮…」
葵くんの返事を待っていると、後ろから渚くんの声がした
振り返ると電話を終えて戻ってきた彼は疲れきっている様子で、ぐったりとソファーに座り込む
…短時間でこんなに憔悴するとかどんな電話なんだろ……
思わずこぼれる苦笑い
「ちーちゃん、あの人のコト知ってる?」
「知ってるっていうか…」
知ってるも何も、たぶん彼のコトを知らない人はいないと思う…
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