テキストサイズ

ネムリヒメ.

第10章 眠らない夜.







「聖…お前、いい加減にしろよ…」

「あれ…そもそも葵くんだって、彼女のコト
渚くんだけのモノにしとくつもりないくせに…」

「……!!」

「…興味あるんだよね、彼女に…あの渚くんが誰かひとりに執着するなんて…」

「……」

「葵くんもそうでしょ…欲しくない!?」


どこまでも挑発的な聖に葵がしびれを切らして、胸元を掴んでいた手を緩めてカラダを突き放す


「お前のその、ヒトのモノすぐ欲しがるその性格…たち悪っ」

「女好きの葵くんに言われたくないよ…」


妖しく瞳を揺らして微笑む聖と

鋭い眼差しをギラつかせる葵


「あのさ…ちーちゃんを葵くんの毎日侍らせてるそこらへんの女の子たちと一緒にするならやめてくんない」


「お前こそ、気まぐれおぼっちゃまの暇潰しならやめろ…」


ピンと張りつめた真夜中の空気に

ふたりの視線が激しくぶつかり合う







─夜は更けていく…







一方、渚の部屋では

今は落ち着いてスースーと穏やかな寝息をたてる千隼を、優しい眼差しで見つめながら隣で渚が髪を撫でている









─夜は更けていく…








…この日、誰も眠らないまま

もうすぐ長い夜が明けようとしていた…










ストーリーメニュー

TOPTOPへ