ネムリヒメ.
第11章 体温計と風邪薬.
アタシは黒い瞳を揺らす渚くんの顔を見上げた
こんな時、自分はどんな顔をしているんだろうか…
頬を赤らめ、瞳を湿らせ潤ませていることはなんとなくわかる
しかし躊躇する間もなく、未だにカラダのなかに残る快感と甘い疼きがアタシを導く
アタシはそっと手を伸ばして彼の揺れる前髪に触れた
彼を見つめると視線が絡み合う
「やめないで…」
「…っ!!」
アタシの紡いだ言葉に彼の漆黒の瞳が揺れた
そして…少しだけ沈黙が流れる
「っ…ふざけんな」
「っ!!」
確かにそう聞こえたと思う
しかし確認する術はもうない…
そう思った時にはもう…
アタシはソファーにカラダを押し付けられて、彼に噛みつくようなキスをされていたから
「んぁっ…はぁ…っ」
彼の熱い舌がアタシの口内を犯すようになぞり、深く舌を絡ませ激しく口づけられる
「お前…最悪っ…」
ゾクゾクする官能的な口づけに、そんな彼の言葉にさえも快感に変わっていく
アタシは溺れるように、彼の手に指を絡めた