ネムリヒメ.
第11章 体温計と風邪薬.
聖くんはにっこり微笑むと、隣の席にアタシを誘う
聖くんにもきのう迷惑かけちゃったな…
そう思いながら、葵くんに朝食の準備をお願いすると聖くんの隣の席についた
「ちーちゃん おはよう、カラダ平気?」
いつも通りの笑顔を向けてくる彼
「うん…聖くん、きのうはゴメンなさい、アタシ…あんな…」
「えっ…!? 別に気にしなくていいのに」
彼はそう言いながら、いかにも甘そうな色をしたカフェオレに手を伸ばす
聖くんも寝てないのかも…
聖くんの目の下にもうっすらと隈ができていた
「ちーちゃん、もしかして毎晩あんなカンジだったの?」
「……ん」
彼の問いかけに自然と視線が落ちる
「なんでうなされてるか覚えてる?」
「ううん…」
「そっか…ゴメンね、気づいてあげられなくて…」
聖くんの栗色の瞳が揺れて、そっと髪を撫でられる
「…無理してひとりで眠らなくていいよ…あんな思いするならどんな時間でも起こしていいから、ちゃんと頼って」
聖くん…
「いつでも一緒に寝てあげるよ!?」
「っ……ありがとう」
一緒に寝る…とか
彼のその言葉に下心があろうが無かろうが、今のアタシにはそんなのどっちでもよかった
行き場のない不安を受けとめてくれるような、優しい彼の笑顔と言葉が純粋に嬉しかったから