ネムリヒメ.
第11章 体温計と風邪薬.
「…ちーちゃん」
…目を瞑ったままそんなやりとりを思い出していると、隣でパソコンのキーボードをカタカタと叩いている聖くんが声をかけてくる
「ん…?」
「……」
突然、彼のキーボードを叩く音が聞こえなくなって瞑っていた目を開く
するとパソコンを見つめたまま聖くんが俯いていた
聖くん?
「…さっきは雅がゴメンね」
え…
「気にしないでって言うのはたぶん無理だろうけど、本当にゴメン…」
「……聖くんが謝らなくてもいいよ」
ぼんやりだけど、彼がどこか悲しそうな目をしているように見えてアタシは彼に笑顔を作る
「聖くんがそう言ってくれるだけでいいよ…」
「っ……起きたらアイス食べようね」
「うん…」
アタシの顔を見て微笑みを返すと髪を撫でてくれる聖くん
「…おやすみ」
その手の感触が心地よくて、彼の甘い匂いに包まれながらアタシは再び目を瞑った