ネムリヒメ.
第1章 prologue.
少し膨らみかけた桜の蕾たちが 静かに春の便りを告げている
暖かな日差しと 時折吹く柔らかい風がそっと頬を撫でていく
その感覚がなんとも心地よくて
アタシはどこか幸せな気持ちで微睡みながら ゆっくりと寝返りをうった
「ぅ…ん」
キシリとベッドが軋み 聴こえてくるのは規則正しい時計の針の音と可愛らしい鳥のさえずり
ん……
隣に誰かの温もりを感じる
すると不意にその温もりが髪に触れ そっと引き寄せられた
直に肌で感じる人の体温と鼓動
それがなんとも心地よくて アタシに安心感を与えた
さらに温もりを求めてアタシは無意識に手を伸ばして肌に触れる
安堵感をもたらす心地よいその温もりにそっと身を預けると
アタシは再び眠りへと落ちていった