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ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.





ホッ…

なんとか心臓もった

神様、やっぱりいたんだね

もぅ、いるならいるって言ってよね!!

心臓に悪いから

はぁ、ありがとう…


楽しかった時間はあっという間に過ぎて、夢のような余韻に浸りながら車の心地よい振動に揺られる

膝の上には、帰り道途中で寄ったパティスリーのケーキが入った箱があって、

葵くん曰く「んー、これでうるさいお坊っちゃまを黙らせるんだよ♪」って、どうやら聖くん対策らしい

中身は大きなホールのイチゴタルト

…は、聖くん用で、その他にピースでタルトを買ってくれた葵くん

聖くんはホール独り占めって、さすがに甘党のアタシでも恐ろしくてできないな…

デートの帰りにケーキのおみやげとか、そんな彼の気遣いも嬉しくて頬が緩む


「…で、ちょっとは軽くなった!?」

「え…体重!?」

「違う違う」


隣でハンドルを握る葵くんが声をだして笑いながら、思いきりボケを返したアタシの頭にポンポンと手を伸ばす

きのうと今日は暴飲暴食したから軽くなるわけないって、ぜったい増えてる


「こーこ…」


あ…

手を引っ込めた彼をみれば、前を向いたまま胸の辺りをトントンと指差している


「…えっと……」


…そんなの忘れてた


彼の仕草に、夢のような楽しい世界から思いきり現実に引き戻され、ちょっと寂しいような、切ないような気持ちになった



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