ネムリヒメ.
第16章 散らばるカケラ.
悔しいのに……
だけどっ
見つめ返してしまうのは渚くんの瞳で
「素直じゃねぇな」
「…ん…ぅるさ…っ!!」
素直じゃないアタシに、瞬く間もなく彼が耳元に顔を寄せた
「バーカ…」
ばっ、バカって…
しかし、触れあったカラダから香る彼の香りと、低い声に脳が甘く痺れて声が出せなくなる
「…お前しか抱かねぇよ」
「…………!!」
う…わ……
アタシの心臓、動いてますかー!?
「フッ…耳、真っ赤」
「っん…んん、」
熱くなった耳が渚くんに食べられる
「むしろ…誰にも抱かせたくねぇし」
「ひゃ…ぁ!!」
トクンと鳴る鼓動は、さっきと同じ場所が奏でているとは思えないほど甘かった
低くて甘い声がアタシを狂わせて、そうやって情欲をかきたてるから…
アタシはどんどん都合よく貪欲でワガママになるんだよ
「…うえに乗れよ」
………!?
「んわっ!!」
そしてフワッと抱き上げられて乗せられた彼の膝のうえ
「ちょ…」
渚くんの向かいに股がるように腰を下ろすと、下から綺麗な顔で見上げられて、どうしていいかわからなくなった
「なぁ…今のオレは慰めるより慰められる方がご所望なんだけど…」
「っ…」
そんなコト言われても…困るけど、
そんな顔されたらもっと困る
彼の長い指先がアタシの太ももをそっと撫でた