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ネムリヒメ.

第4章 楓─maple─.








確かにミルクに入れたら甘くておいしそうだけど

さすがにさっきのは入れすぎじゃ…



──メープル…シロップ……か……



楓…

楓に……会いたい…

ここにいない楓の顔が頭を過る




が、




「うわっ、ちーちゃん!!」


ぼんやりとしていたのは束の間、葵くんに名前を呼ばれたときにはすでに時遅し


聖くんは躊躇なくアタシのカップに大量のメイプルシロップを注ぎ込んでいた


「ぇっ、ちょっ…」


色が…色が尋常じゃないんですけど

立ち上る湯気と一緒に噎せかえるようなシロップの甘い匂い


「ん? 疲れた時は甘いものが一番だよ♪」


笑顔で聖くんはスプーンでくるくるとカップの中をかき混ぜる



「飲んでみて♪」

「え、あ、うん…」

「えぇっ!! ちーちゃん飲むの!?」

「聖、お前と一緒だと思うなよ」


笑顔の聖くんと苦い顔をする葵くんと渚くんの前で

ドキドキしながらカップに口をつける



ぁ……



「…おいしい」



「…でしょー♪」

「うわー…」

「信じらんねぇ…」



アタシの衝撃の一言ににめちゃくちゃ嬉しそうな聖くんと、口が空いたままのふたり



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