ネムリヒメ.
第2章 目覚め.
完璧にアタシの頭の中はパニック状態に陥っていた
帰国して…
帰国して…
帰国し…て…
言葉が呪文のようにグルグルとアタシの頭の中を駆け巡る
焦れば焦るほど何も出てこなくて、代わりに変な汗が出てきた
人はパニック状態に陥ると頭が真っ白になるっていうのは、どうやら本当のようだ
とにかく気持ちを落ち着かせようと、外の空気を吸うためにベッドから降りる
床に敷き詰められたふかふかの絨毯がアタシの素足を優しく包んだ
…思い出せないのは寝起きのせいだと思いたかった
窓から外を見ると広大な庭が広がっていて、たくさんの緑が目に飛び込んできた
手入れの行き届いた芝生が敷かれ
庭の中心には噴水がある
さらに遠くには大きくて立派な門がみられた
カシャリとバルコニーの扉を開け放つと
サワサワと春の優しい風がアタシの頬をくすぐっていった
思い切り息を吸い込んで深呼吸をすると徐々に頭がスッキリしてくる
無心のまま緑を眺め、アタシはしばらく風にあたっていた
すると急に冷たい風が吹き込んできて アタシの身をさらっていく
カーテンを揺らす強い風に思わず身震いをした
「ハッ…クシュッ」
寒くなってくしゃみが出る
急いでバルコニーの扉を締めようと手を伸ばしたその時だった
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