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未知夢

第9章 異動

 足をガクガクさせながら、繁は高円寺綾のいるマンションに向かって走り出した。


 膝から太ももの中に、なにやらこそばゆいものが詰まっているような感覚が広がる。


「ハヒッ、ハヒッ、ハヒッ」


 サッカーをしていた大学の頃に比べ、かなり足腰が弱ってきていた。


 足には自信があったつもりだが、実際に走ったらこうなるんだと言うことを身をもって知った。


 やがて、必死に走っているつもりが、ほとんど競歩になっていた。


「なんだよこれ……走れない……走れない」


 思うように足が動かない。


「なんだよこれ……」


 前に行きたい。だが、足が進まない。ただの運動不足でここまでなるのだろうか?


 気ばかり焦るだけで、心と体がまったく別々になっていた。




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