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未知夢

第9章 異動

 高円寺綾を食い止めた所で、未来が変わるかどうかはわからない。


 それに、ここが現実世界かどうかもにわかに信じがたい。


 だが、例え夢だったとしても、彼女を救いたいと真に思っていた。


 高円寺綾、テレビや雑誌で爆発的ほどではないが、人気のあった女性アイドル。


 繁が理想の彼女にしたいほど、恋い焦がれる手の届かない存在。


 それが、自分の実家の近くに住んでいたことが判った。


 それも、皮肉なことに判ったのが高円寺綾が亡くなった時だった。


 近くに住んでいた……それだけで、自分とも知り合えるチャンスがあったのかも知れない。


 ひょっとしたら付き合えていたかも知れない。


 そんな願いも、心に湧き出てていた。


 すべての小さな可能性の夢が亡くなった後に、たくさん出てきた。





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