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未知夢

第9章 異動

「ま、味がおかしければ捨ててくれたらいい話。さいなら〜」


 そう言ってアパートを出る。


 まったく、ふざけた悪人だ。


 だが、繁はなにかを思い出して、そこで立ち止まった。


「あれ?」


 繁はアパートを振り返ってみた。


「たしか……俺の部屋に住んでたおっさん……名前を高円寺って言ってたよな」


 高円寺イコール高円寺綾。


 繁は考えた。


 まだこの時代に自分がいる。て、ことは、まだあの娘も生きているかも?


 さっき公園で見たリアルな夢を思い出した。


「まだ……間に合うか?」


 だが、夢と現実は違う。今いるこの世界も繁にとっては別世界だ。


 ポケットの中に手を入れてみたが、緑色の石は無かった。


「ないのか? 穴が開いてない方に入れたんだけど……」


 石はどのポケットにも入っていなかった。




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