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未知夢

第3章 酒席

 森屋はふぅ〜っと、最後のタバコの一呼吸を吐いてから、口を開いた。


「当時、チアリーディングしてた沖野由佳里(おきのゆかり)って覚えてるだろ」


「なっ!!」


 繁はまさか……と、思った。


 沖野由佳里!?


 それは、大学在学中に繁が恋焦がれた女性だった。


「うわぁ……テンション下がるわ……ゆかりん狙うかよ……」


 繁はテーブルにうつ伏せた。


「そうだっ!! たしか、お前、ラブレター出してフラれたんだよな」


「言うなよ!! 俺、思い出したら今も傷付くんだぜ……10年以上の月日がたった今でもさぁ」


「いや、だって俺と付き合ってる時にお前、彼女にラブレター出してるからさぁ」


 繁は酔いがさめた。


「マジか……恥ずかしっ! あのときすでに手遅れやったんかい!!」


 10数年経過してからの新事実発覚。


 繁が起死回生を起こせる物は何もなかった。




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